
むかしむかし、あるところに子供が、いました。
その子は、幼稚園生になったばかりで、誕生日に初めておこずかいをもらったので、こっそり空飛ぶ三輪車で雲の上のお店に買い物に向かう事にしたのです。
その日は空一面薄暗く曇っていたので、少し憂鬱な気分でしたが、雲の上のお店に着くころには、晴天になっていました。
お店は、小さい雲の上にあり、その子は、三輪車のまま、お店に入りました。
入り口の目の前には「どくりんご」と書かれたシールが張られたりんごが置いてありました。
食べたら死んでしまうと思ったので、これは買わない事にしました。
そのとなりには、弓矢が刺さったりんごが置いてありました。
怖いので、これも買わない事にしました。
そのとなりには、とてもとても小さいりんごが置いてあります。
おなかいっぱいにならないと思ったので、これも買わない事にしました。
そのとなりには試食用のりんごが置いてありました。
一口だけ、かじってみる事にしました。
しかし、とても硬く、おいしくなかったので、近くにあったごみ箱に捨ててしまいました。
結局、その子は、店内を探検した後、おもちゃを買って帰る事にしました。
家に帰ってから、袋を開けると、おもちゃと見たこともない本が一冊入っていました。
その本の表紙には「ストーリータイム 冷たい戦い」と書かれていました。
その子は、驚き、そして恐る恐るその本を読んで見る事にしました。
著者 戸井田 知之